株式会社 青木固研究所 様

基幹システムの更改を通じて、業務処理システムから
『情報活用基盤』へと革新

成功のカギは、情報の「見える化」と「信頼関係」
―(株)青木固(あおきかたし)研究所様の事例―

青木固研究所様の社員の写真

各部門でバラバラ 非効率的な既存システム

きっかけは、社内研修で出た社員の意見だった。
「部門を跨いだシステム間の情報連携ができておらず、業務効率が悪い。なんとかならないだろうか」。
それまで青木固研究所では、各部門で独自のシステムを稼働させていたこともあり、複数の部門を跨いだ情報共有が難しかった。集計など部門間での情報のやりとりは、情報を紙に出力したのちに、それぞれが利用しやすい状態に加工するなど余計な手間がかかっていた。
しかし、ERP等の大規模な全社統合システムの導入となると、莫大な労力と費用が発生する。担当にあたった管理品質保証室の小林氏と相澤氏は「せっかく各部門で稼働しているシステムがあるのだから、これを上手く活用しながら、全社連携を強化する術はないだろうか」と頭を悩ませていた。

また、ちょうどその頃、社内監査の中で「企業規模にIT化が追い付いていない」などと厳しい指摘を受けた。 当時はシステムにログインするパスワードすらなく、セキュリティも甘かった。
「さすがに何とかしなければ」と2人が思い立った矢先、ネクストリンクス(以下NLS社)から提案があった。 それは「既存システムを上手に利活用しながら、IT改革を推進すべき」というこちらのニーズをまるごと満たしたもの。 そこで、全社システムの見直しをNLS社に依頼することにした。

3カ年ロードマップの策定

何度かNLS社との話し合いを重ね、青木固研究所システムの以降3カ年の実施計画が策定された。
計画のゴールは「社内コミュニケーションの強化による業務効率化」。とはいえ、既存システムを必要以上に繋げてしまうと逆に効率の悪化を招く可能性もある。現段階でどこまでの改善が可能なのか、現場の様子を見ながら探る必要があった。
そこで、

  • 1年目は工程管理業務のシステム開発
  • 2年目は資材管理業務
  • 3年目は営業管理業務

―と、年度ごとにテーマを設け、1つ1つのシステムを見直し、それに合わせた業務改革を積み重ねた先にゴールが達成できるよう、ロードマップを作成した。

秘策 情報の「見える(魅せる)化」

大型モニタの写真

2014年春。第1弾として工程管理業務のシステム開発に着手。同時に、工場内に大型モニタ1台と複数のタッチパネル端末(以下、端末)を設置した。
日々、作業を開始・完了する度に作業者が端末に入力することで、大型モニタを通じて進捗や構内配置をリアルタイムに作業現場に発信。最新の工場内の状況を常に把握できる仕組みだ。
しかし、大型モニタを設置した真の目的は別にあった。
モニタを常に人目にふれる場所に置き、情報を「見える化(魅せる化)」することで、システム改善のメリットを社員たちに体感してもらおうという狙いだったのだ。
当然、最初からすんなりとは社員に受け入れられなかったが、実際にシステムを目で見て触れることで理解を示す社員も増え、ITに対して閉鎖的だった社内の雰囲気もかなり緩和された。

情報のつながりは、人とのつながり

2015年春には、資材管理業務のシステムを開発。同年冬には、各部門に散在しているデータを随時収集し、一元管理するための「全社データベース」と、その情報を活用するための「BIツール」で構成された「全社情報活用基盤」を構築。
2016年春には、販売業務の中核を担う営業管理業務の新システムをリリースし、運用を開始。ロードマップに沿って着実にシステム改善が進められたものの、その道筋は一筋縄ではいかないことばかりであった。
業務効率化のためのシステム改善とはいえ、社員は不慣れな作業を強いられる。
改善の度に各部門から出る反発や要望、悩みを担当者は根気よくヒアリングし、可能な限りシステムに反映。システム改善の必要性を各部門の責任者に納得してもらえるよう努めた。

NLS社の担当者も打ち合わせの場に常に同席した。
当時のNLS社の対応を小林氏は振り返る。
「システム開発だけでなく、部門と部門、社員と社員の摩擦まで一緒になって解決してくれたのがとても有難かった」。NLS社の担当者も「情報と情報のつながりは結局、人と人とのつながりなのだと実感した」という。
青木固研究所ではシステムの開発・構築だけでなく、サーバの管理やライセンス更新など保守業務も一括してNLS社に委託している。

例えば、システムに異常や不具合が発生した際、NLS社に直接通知が送られ、担当者が遠隔操作で問題を切り分け、必要に応じた対処を即座に行う。これはシステムにかかわる一切の要素を一元的に委託しているからこそ実現できることであり、その結果、トラブルが大きくなる前に火種を消すことができる。また、IT関連の外部業者とのやり取りもNLS社を介して行われている。
なぜここまでNLS社にシステム全般を委ねることができるのか―。
それは、管理品質保証室の2人を中心に、皆で同じ「ゴール」を描いているからにほかならない。
3年前から何度も何度も話し合い、社内の課題にともに立ち向かい、密なコミュニケーションを重ねたからこそ、全てを任せることができるのだ。
ここでもやはりシステムは人と人とのつながり、信頼関係が基本であることがわかる。

情報の「戦略的活用」を目指して

1つ1つの課題を地道にクリアし、システムが徐々に整っていく中で、新たな動きが生まれた。最初はしぶしぶ従っていた社員たちが、自発的にシステムの改善点や要望を提案するようになったのだ。これは3年前からは想像できない変化である。
いま課題として挙げられているのは「情報のスピード」。
売上達成率や作業工程の進捗など現状をリアルタイムで確実に把握し、業務に生かしたいという声が強くなってきている。そのため現在では、部門間の連携をさらに強化し、情報のキメを細かくするべく改善を重ねている。
当初3カ年計画のゴールであった「部門間システムの連携による業務効率化」はすでにクリアしつつあるが、まだまだ改革の勢いを緩めるつもりはない。
今後は情報の集約、「見える化」から一歩進んで、情報の「戦略的活用」を目指す。

具体的には、外出先や商談中でもタブレットなどの端末から会社のデータベースへのアクセスを検討するほか、協力会社との情報連携も視野に入れている。
「継続的改善・改良」がモットーの青木固研究所。今後もさらなる進化を遂げるに違いない。

株式会社 青木固研究所

昭和51年創業。
「射出延伸ブロー成形」に特化し、PETボトルなどのプラスチック容器の成形機と金型の開発・製造・販売を行う。飲料や食品、日用品、医療など様々な分野で革新的な成形技術を提供する企業として、世界約80カ国の企業・メーカーから信頼を寄せられている。今回、事業拡大に向けたガバナンス強化のため、各部門間情報の連携を図るべく、ネクストリンクスに全社システムの見直しを依頼した。

◆長野県埴科郡坂城町南条4963-3
http://www.aokitech.co.jp/

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